自然の力を生かす「自然農法」の

今ファミリーファーム

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これまでの歩み

農産物を作る側、食べる側をお互いが支えあう「提携」を根本精神として…

 昭和40年代後半、先代は、化学合成農薬や化成肥料を一切使用しない農法に切り替え、作る人と買う人が提携して支えあう産直運動を開始しました。

先代

 今のように有機農法に対する消費者の認知度も高くはなかった当時、父が目指したのは、現在の有機 JAS法の基準よりはるかに厳しい、化学合成農薬・化成肥料を全く使用しないというレベルでした。病害虫に負け、収穫が皆無に近い状態を何度も経験しました。簡単に見栄えの良いりんごが作れるのに、どうしてわざわざそんな苦労をするのかと、方々から言われたそうです。

 私は、大学卒業後、何年か地元で教壇に立っていましたが、主人とともに、平成12年に就農しました。小さい頃から父や母を見てきたとはいえ、実際に農業をやってみると、こんな苦労はしたくないと思うほどの苦労と、さまざまな困難に突き当たります。でも、すべては自分を磨く試練と思い、日々研鑽の毎日を送っています。

 父や母が、なぜこんなにも大変な農業を続けてこられたかというと、提携で結ばれた消費者グループがあったからです。提携とは、「生産者は消費者のためを思い農産物を生産し、消費者はその農産物を食べ生産者を支える」ということだと私は思っていますが、この意味はとても深く、実践し続けるための苦労は並大抵のことではありません。

写真 当時は青森で収穫したりんごを、父がトラックで東京まで運んでいました。一軒一軒お客さんの玄関先まで。慣れない道に迷い、津軽弁もなかなか通じず、数々の苦労がありました。でも「今さんのりんごおいしいね。いつもありがとう。」と感謝の言葉をいただくと、本当にありがたかったそうです。喜んでくれる人がいるからと、安全なものを求めるお客さんたちの顔を思い浮かべ、それに応えたいとがんばれた。

 私は、父母と消費者の皆さんとの長年のお付き合いを見て、運命共同体のような強い絆を感じました。提携とは、どれだけ深くお互いを理解しあえるかという相互理解でもあり、お互いが共存できる接点を見いだすための努力の積み重ねです。小さい頃から、提携のすばらしさを聞き、私もこんな農業をしたいと思い、現在農業をしている私の原点とも言うべき提携の精神は、変わることなく守り続けていきたいと思っています。